Annual Report Vol.2


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“オトナ女子”層が市場を牽引多様化する“癒し”をキャラクターに求めた2015年株式会社キャラクター・データバンク代表取締役社長陸川和男2015年のキャラクター商品市場は、前年比3.6%減の1兆6,300億円となった(当社調べ)。前年からは減少したものの、過去10年で2番目に高い市場規模だ。14年は、周知のとおり「妖怪ウォッチ」「アナと雪の女王」という、メガヒットキャラクターが登場し、社会現象といえるほど市場は急伸した。15年は、その反動を受け、大きく市場は縮小すると見られたが、結果としては、縮小率は最小限に抑えられた。その背景には、5つの要因があると考える。1つ目は、ディズニー」「スヌーピー」「ムーミン」など、エバーグリーンな海外キャラクターが好調だった点だ。日本市場における海外キャラクターの売上比率は13年を底に、14年、15年と、その比率は伸長。日本のキャラクター商品市場は、日本製キャラクターが6割以上を占める市場だが、最近の、特にディズニーの映画プロパティの好調さをみると、米国の市場に近づきつつあるようにも見える。2つ目は、ハイターゲット向けのアニメ&ゲームキャラクターが好調だった点だ。「ハイキュー!!」「黒子のバスケ」などスポーツ系、「美少女戦士セーラームーン」「星のカービィ」といった懐かし系、さらに現在もブームが継続する「おそ松さん」「刀剣乱舞-ONLINE-」など、オトナの女性層の市場が活況を呈した。3つ目は、キャラクターコラボカフェをはじめ、イベントにおける物販が相変わらず好調だった点だ。ソーシャルメディア時代における消費の大きな特徴だ。4つ目は、インバウンド消費だ。15年は2000万人近くの外国人が日本に訪れ、中国人の“爆買い”に象徴されるようにキャラクター商品も恩恵を被った。「ドラえもん」や「ハローキティ」をはじめ、海外でも人気のあるキャラクターは特に好調だった。そして5つ目は、キャラクター消費のボーダレス化が進んだ点を挙げておきたい。これまでファンシーとアニメキャラクターのファンは、異なる層であると思われていたが、その認識はビジネス側の発想であり、現在では、シーンや意識の変化によって同じ人が、さまざまなキャラクターを使い分けている。分かりやすくいえば、1人で「リラックマ」も「ラブライブ!」も「セーラームーン」も受容する層が存在しているのだ。こうした要因を見ていくと、共通しているのはオトナの女性層が市場を牽引している点だ。彼女たちは、癒しを求めてキャラクター商品を購入しているが、その癒しも“生活的な癒し”“性的な癒し”“憧憬的な癒し”と、同じ癒しでも求めているものが異なっている。例えば、多くのファンシーキャラクターは“生活的な癒し”――生活のなかで、ちょっとしたストレスを感じている時にホッとさせてくれる存在であり、スポーツ系アニメはイケメンの登場実物に対する“性的な癒し”であり、「セーラームーン」などは子どもの頃に憧れていた“憧憬的な癒し”といえるだろう。当然、その癒しの違いにより、欲しい商品も異なる。“生活的な癒し”を求めている場合は実用性の高いものだったり、“性的な癒し”の場合は実用性というよりもそのキャラクターの再現性が求められたり、“憧憬的な癒し”はファッション性のあるアイコン的なさりげなさが必要だったり、という具合だ。こうした生活者意識の変化は、今後新たな業態を生み、市場の再編にもつながるものと見られる。クラウド上におけるデジタルソリューションが連結した環境が求められる。尚且つ、それぞれの「データ収集」「データ収集を想定してのカテゴライズ」等の確実な仕様設計と解析立案が可能な人材が非常に求められる事は明白だと考える。さて、この「繋がる」と「集積」を、どの様にビジネス・ソリューションとして表現したら良いのかが今後の課題である。27


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