Annual Report Vol.2


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茨城県かすみがうら市の地方活性化に携わって産業能率大学経営学部教授岩井善弘茨城県かすみがうら市というところ私が担当するゼミでは2014年8月から2015年5月にかけて、自由が丘商店街振興組合、筑波銀行、あおぞら銀行、茨城県大洗町などからのご協力を得て、大洗町のブランド向上に向けて、地域活性化を行った。大洗町はアニメ「ガールズ&パンツァー」誕生の地で、最近はしばしばメディアに取り上げられている。私たち岩井ゼミでは、大洗で水揚げされる魚・しらすに着目し、2015年5月3日から6日まで開催された「JiyugaokaSweetsFesta」において、自由が丘商店街振興組合の多大なるご協力を得て、一部のエリアを大洗町ブースとしてお借りし、しらすお好み焼きの実演販売を行い、多くのお客様からご好評を戴いた。本稿では、産官学金4者による茨城県活性化プロジェクト第2弾として、かすみがうら市の活性化への支援を紹介する。はじめにかすみがうら市は都心から約70kmに位置し、常磐自動車道、JR常磐線、国道6号などにより、都心からのアクセスが大変便利である。つくば市、茨城空港との距離も10km程度と至便である。同市の人口は約42,000人、面積は156.6平方キロメートルである。「平成の大合併」により、2005年(平成17年)、霞ヶ浦町と千代田町が合併してできた新しい市である。かすみがうら市は日本で2番目に広い面積の湖、霞ヶ浦を有する。かすみがうら市が誇る様々な資源(コンテンツ)を紹介しよう。かすみがうら市は食や観光資源の宝庫である。かすみがうら市には、「湖山の宝」という言葉がある。これは市内にある観光資源や市の生鮮品、加工品などを象徴する統一的なブランドネーミングである。まず食から紹介しよう。魚は豊富でなまず、鯉、公魚が獲れる。なまずはアメリカなまずで川魚特有の臭みがなく淡白な白身魚である。なまずのフライにかすみがうら市で有名な蓮根のフライを合わせ、「霞ヶ浦フィッシュ&チップス」が最近普及している。鯉は湖で多く養殖されている。公魚(わかさぎ)は霞ヶ浦の名物ともいえる魚である。公魚の加工会社の出羽屋さんの戸田社長には大変お世話になっているが、同社には2015年8月9日に3年次ゼミでお邪魔させていただき、公魚の加工品工場を見学した。公魚は佃煮でもよし、フライでもよし、唐揚げでもおいしく食せる魚である。最近では燻製も開発されている。湖で獲れる魚は以上のようなものであるが、陸に上がればまた魅力的な食物がある。まず蓮根である。蓮根は10月から3月が旬の時期であり、ビタミンC、食物繊維、カリウム、鉄分、亜鉛などを多く含み、その効用は高いといわれている。霞ヶ浦の周辺には蓮根畑が広がっており、その景色は壮観である。サツマイモは紅あずまが有名で、紅あずまを使ったスイーツが販売されている。今回岩井ゼミではサツマイモのスイーツの製造販売企業であるひので屋さんと新商品の企画を共同でさせていただいた。他には大粒の栗やブルーベリー、梨、イチゴ、ブドウ、柿も収穫される。栗を使った甘納豆、ジャムは大変美味である。ブルーベリーはジュースやお酒の原料に使われている。蓮根を飼料として育てた「蓮根豚」は、かすみがうら市の新たなブランド豚として期待がかかる。脂身が甘く柔らかい肉質の豚肉であり、広原畜産さんがその普及に努力されている。岩井ゼミでは、2015年度の「女神まつり」、2016年5月の「JiyugaokaSweetsFesta」で「蓮根豚」を使わせていただき、調理品を販売した。次にかすみがうら市の代表的な観光資源を挙げてみよう。まず何と言っても日本第2位の広さを誇る湖、霞ヶ浦である。前述のように霞ヶ浦には豊富な水産資源がある。この霞ヶ浦を活用したイベントも豊富である。霞ヶ浦と切っても切れないのが帆引き船だ。昭和40年ころまでは霞ヶ浦漁業の漁船として活躍した船であるが、現在は観光船として7月下旬から11月末までの日曜日に操業している。帆引き船を発明したのは折本良平という人物である。かつて、帆引き船は雄大な帆を凧の原理で船を横に流して漁を行っていた。国の重要文化財に指定されている椎名家住宅は1620年代から当地に住む椎名家の住宅で、1674年(延宝2年)に建てられた古民家であり、映画撮影のロケ地としても活用されている。また10月に開催される「かすみがうらエンデューロ」がある。これは霞ヶ浦のほとりを会場にした周囲4.8kmの自転車耐久レースであり、当日は県内外から多くの観光客が訪れている。霞ヶ浦のほとりにある歩崎公園では毎年8月にあゆみ祭りが開催され、吹奏楽演奏、農産物販売、観光帆引き船、花火などが行われている。最後にかすみがうら市は、日本のソーセージの父といわれる飯田吉英氏を生んだ地でもある。飯田氏はでんぷんを使わず、余り肉を使わず、防腐剤も用いないドイツ式のソーセージの製法を研究し、日本にその製法を普及させた人物である。以上のようにかすみがうら市にはあまり知られてはいないが、豊富なコンテンツが数多くある。02Content Business Research Center Annual Report Vol. 2


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