保護者の方へ

プロが教える「進路づくり」

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「高大共創」のアプローチで高校生の進路開発などに取り組む。日本大学理工学部建築学科卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。私立大学専任職員、予備校の総合研究所主任研究員などを経て独立。進路選びではなく進路づくり、入試広報ではなく高大接続が重要という観点から様々な団体やメディアと連携し、企画・情報発信を行う。全国の高校や進路指導協議会等で、進路に関する講演も多数努める。著書に『看板学部と看板倒れ学部 大学教育は玉石混合』(中公新書ラクレ)『文学部がなくなる日 誰も書かなかった大学の「いま」』(主婦の友新書)など。
(ウェブサイト)http://kurabeshiki.com/

第2回 オープンキャンパスで保護者がチェックすべきポイント

オープンキャンパスは大事な進路学習の場

高校生が大学を知る上で、重要な機会となっているのがオープンキャンパスです。現在では大学進学者の94.2%が高校生のうちに、オープンキャンパスなど大学主催のイベントへ参加。高校1年生時点での参加率も半数近くに上ります(※1)。生徒へオープンキャンパスへの参加を義務づける、または積極参加を促す高校も93.7%と多く、高校も進路検討の大事な場だと捉えています(※2)。

オープンキャンパスでは、どんなことが行われるのか。その内容は大学によって様々ですが、一般的には

 ・各学部・学科による模擬授業
 ・入試制度についての説明会
 ・キャンパス見学ツアー
 ・在学生や教職員への質問・相談コーナー

……などを用意する大学が多いようです。これらに加えて、大学で行っている授業スタイルを体験したり、外部の講師を招いて入試に向けた対策講座などを行ったりと、各校とも様々な工夫を凝らしています。進路検討のためにこれらを利用しない手はありません。

多くの高校1年生にとっては、初めて大学に触れる機会になるでしょう。まずは大学とはどんなところか、イメージを膨らませてみていただければと思います。2年生なら、模擬授業や教員との対話を通じて学問の魅力を知り、志望学部・学科を検討する一日にできるでしょう。3年生にとっては、志望校の特色をチェックしに行く最後のチャンスであることも多いはず。このように学年や時期に合わせ、目的を持って参加すると効果的です。

ご家族で出かけても問題ありません。最近は保護者と参加する高校生も増えていますし、多くの大学では保護者向けの相談コーナーなどを設けています。

視野を広げることと、詳細を検証すること。この2点を意識して

高校よりもずっと広く、設備の整ったキャンパス。そして大人びた先輩学生達。高校生からすれば、大学というのはただ足を踏み入れた上でも、わくわくする場に違いありません。そのせいか「学食が美味しいか」「都心に近いか」など、施設・設備面ばかりに注目してしまう傾向もあるようです。前回のコラムhttp://www.sanno.ac.jp/exam/guardian/colum01.htmlでも述べましたが、大学生の本分は授業を中心にした「学び」。その点をしっかり見て、自分の将来を考える機会にしなければ、オープンキャンパスの意義は半減してしまいます。保護者の方々が同行されるなら、ぜひその点をサポートしてあげてください。

オープンキャンパスでできることの1つは、進学する本人の視野を広げることです。

「私は○○学部にしか関心がないから、そこの模擬授業だけを聞く」……など、進路を早々に絞る高校生は多くいます。しかし実際には、たまたま違う学部の話を聞いたことで、そこから進路を再考する例も珍しくありません。進路について高校生が得ている情報は、そう多くはありません。なかには「ネットの性格診断テストが楽しいから、心理学部が良さそう」など、限られた経験や印象・思い込みで志望学部を決めているような例もあります。特に1〜2年生のうちは、できるだけ様々な種類の学部・学科を回ってみると良いでしょう。

キャンパスの大きい都心の総合大学ばかりに関心を持ち、そうでない小規模大学や、やや都心から離れた大学のイベントには最初から足を運びたがらない傾向も、高校生の間で見受けられます。でも実際には、そうした小規模大学や郊外の大学で学んだ方が伸びる高校生だって多いのです。2大学のオープンキャンパスへ行く予定なら、ぜひ条件が対照的な2校を選んでみてください。2校の違いから気づけることも多いはずです。

できることの2つめは、志望校の教育内容や教育環境について、詳細を検証することです。

オープンキャンパスの大きなメリットは、心ゆくまで大学の関係者と話せる点にあります。質問・相談コーナーには必ず行ってみてください。学業のことや周囲の学生の様子など、在学生にホンネを聞くのもアリです。大学のスタッフには、留年者や中退者の傾向、特定業界に対する就職実績のデータ、自分が奨学金をもらえるかどうかなど、大学案内に掲載されていないことや、個人的な関心事などを遠慮なく聞いて大丈夫。スタッフの対応の仕方も含め、大学の実力を確かめる良い機会になるでしょう。

保護者にとっては、学生達の様子も重要な情報源になるはずです。最近はイベントの企画・運営を学生に任せる大学が増えています。もちろん事前に研修を受け、準備をして臨んでいるわけですから、どの大学の学生も基本的にはしっかりした対応をしてくれます。そこを差し引いても、参加者側からの質問に対応する様子や、自分の体験を相手に伝える話し方、チームの連携ぶりなどを通じて、「普段から社会人と協働する機会が多いのかな」などと、大学の普段の教育方針を推し量れる場面はあると思います。

保護者だからこそ、気づくこともあります。ぜひ夏は親子で、大学へ足を運んでみてください。


※1:リクルート進学総研「高校生の進路選択に関する調査(進学センサス2016)」
※2:NPO法人NEWVERY「進路指導白書2017」