SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8 FEATURE「スポーツを通じた社会貢献」


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16.015.9**15.113.21817161514131211109*16.214.5男性女性12.611.7**12.110.0CPNPAFCACCPNPAFCAC図2.男女別の自我状態の平均値と有意差(t検定)図2. 男女別の自我状態の平均値と有意差(t検定)5.まとめと展望今回の産業能率大学スペシャルゲームは、平塚球場(バッティングパレス相石スタジアムひらつか)で開催された横浜DeNAベイスターズのイースタンリーグ公式戦においてシーズン最多観客動員数を記録した。そして本イベント(COOLカウンセリング)も、その後のアンケート調査で高評価をいただいた。ファンであるということの心理構造は複雑であり、一概にその全てを語ることは困難であるが、その心理的な背景には、憧れ、類似性、同一視、恋愛感情様相、自己愛といった心理的要因があると考えられる。また同一対象に好意を持つもの同士のコミュニケーションを楽しむことを目的としたファン動機や、孤独感の払拭という動機も推察される。地元球団を応援する傾向や、同地域出身の選手を贔屓にして応援するというファンの心理からも、プロスポーツは「○○ファン」ということをいかに効果的に自己にコミットさせることができるか、すなわち、ファンということのアイデンティティ・マネジメントが重要な要因の1つであると考えられる。そのようなプロスポーツにおけるファンのアイデンティティ・マネジメントという視点から考えた際に、本研究にある性格分析フィードバックとスター選手性格相性分析、そしてカラーバンドによるファン交流促進イベントは意義のあるものであると考えられる。今後もより多角的な視点から研究と実践を続け、これからのスポーツマネジメントにおける有効なファン心理のマネジメントについて考えていきたい。<参考・引用文献>1)自己成長エゴグラムのすべてチーム医療,桂戴作・芦原睦・村上正人(1999)2)横浜DeNAベイスターズ2015オフィシャルイヤーマガジン,メタ・ブレーン(2015)184.結果と考察来場は主に試合前と試合終了後に集中した。実施数は女性49名、男性53名であった。年齢はプライバシー保護と実施への抵抗処理の観点から年代だけを伺う形式とした。(図1)図1.回答者の属性男女ごとの各自我状態の平均を比較したところ(図2)、男性ファンはCPとAが高く、女性ファンはFCが高いことが示唆された。CPの高さは、独自のこだわりや批判的な評価、他責的な攻撃性が強いことが考えられる。またAの高さは合理的であることが伺われる。つまり、自分なりのこだわりを大切にする傾向と、相手チームや選手の望ましくないプレーや結果への野次・罵声といった行為に繋がることが示唆される。またAの高さからは、合理的で客観的な性格ゆえに、いわゆる“得した”と感じることが顧客としての満足感に繋がる可能性が推察される。一方女性は、FCが高いところから、感情的で情緒的な満足度が重要であることが示唆される。たとえば、外見的魅力の高い選手への関心や、サービス、グッズ、飲食物なども情緒的に訴えるものが顧客としての満足感に繋がる可能性が推察された。


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