フィールド調査の基礎

Mission!
「外国人観光客向け」の自由が丘ツアーを企画せよ

Lecture|この授業のポイント

「自由が丘」の魅力をリサーチし、「現場観察」の重要性を知る

知りたい情報があれば、ポータルサイトやSNSでいつでも入手できる時代。「行きたいお店に行く前に、わざわざ現地に行って調べません」という人がほとんどのはずです。しかし、ビジネスの世界の常識は正反対。代表的な活動がマーケティングです。新しい商品やサービスを提供するために、消費者や市場の実態や傾向を探りますが、インタ-ネット上の情報は鵜呑みにできません。意図的に編集されていたり、情報が更新されていない・・・ということも多いからです。

大切なのは、自分の五感を使って「現場観察」を徹底的に行うこと。その重要性を実感できるのが、この『フィールド調査の基礎』という授業です。調査の舞台となるのは「自由が丘」流行に敏感な人が訪れ、新規出店や企業のアンテナショップも多いことでも知られています。子どもからお年寄りまで多世代が利用することから、サンプルを集める上でも絶好の教材になります。

Report|学生の声

日本人と外国人で異なる「日本らしさ」。調査での発見でした

上野 豊武 マーケティング学科 2年 群馬県立沼田高等学校出身
この授業では、フィールド調査を行うにあたって課題が設定されます。今年度は、「外国人観光客を自由が丘に呼び込むツアー企画」でした。進め方としては、①デスクトップ調査による分析②企画の検討③フィールド調査による情報収集④ツアー企画書の作成⑤グループ発表会という流れです。

インターネット上の情報を活用するデスクトップ調査では、自由が丘を訪れる外国人観光客にはアジア圏の人々が多く、買い物より体験を重視する傾向があることもわかりました。しかし、真実かどうかは不透明で、ツアーのターゲットを絞ることもできません。そこで行ったのが自由が丘でのフィールド調査です。何度も足を運びターゲットは「カメラを片手にグループで行動する」「アジア圏のなかでも韓国の20~30代のグループが多い」「和菓子店、陶磁器店、神社が人気」といった事実がわかりました。

街頭インタビューでは、カメラで何を撮影しているのかもヒアリングしました。さまざまな調査結果からツアー企画の立案で重視したのは、日本らしさを体験できること。そして、インスタ映えするフォトスポットを盛り込むことです。そして最終的には春を感じるフォトジェニックツアー」という企画にまとめました。

フィールド調査を行う前に検討していたのは、スイーツ店を巡るツアーでした。しかし、ありがちな企画で、他のグループも検討している可能性があるということで練り直しました。他のグループの発表を聞きましたが、予想は的中。スイーツ・雑貨・お寺を巡るツアーが多かったのです。目新しさや独自の視点の大切さを実感しました。フィールド調査は、発見に満ちています。なかでも印象に残っているのは、私たち日本人と外国人では「日本らしさ」の捉え方が異なるということ。

海外の方がカメラを向ける被写体は、木に留まるスズメだったり、マンホールの蓋に掘られた桜の絵柄だったりします。「生の声を聞き、実態を見てこそ、確信に変わる」。この授業で得た教訓です。