デジタル空間で”お祭り”を開催。地域創生の新しいカタチを試みる

【地域創生にDXを活用する】

情報マネジメント学部3年 小林大介  神奈川県立瀬谷高等学校出身
バーチャル空間で地域に根付いたお祭りを再現する
所属する橋本ゼミの研究テーマは、ソーシャルイノベーションです。これは、社会の問題に対して新たな解決策を検討することです。さまざまな問題の一つに地域創生があります。橋本ゼミでは、単に提案で終わるのではなく、施策の実装まで行っている所に特徴があります。少子高齢化、過疎化、商店街の衰退など地域はさまざまな課題を抱えています。その中で、私はコロナ禍の影響で地域のお祭りが中止になってしまっていることが気になりました。お祭りは、住民が地域に愛着を持つきっかけの一つになっていると考えます。中止が続くことで、お祭りという文化自体が廃れてしまうかもしれない。そんな危機感を持ち、デジタル技術を活用し、バーチャル空間でお祭りを再現することを考えました。
SNSで公開したお祭りに海外からの参加者も
題材にしたのは、湘南キャンパスの地元である伊勢原市で毎年開催されていた「伊勢原観光道灌まつり」です。このお祭りをバーチャル空間上に再現し、案内役はアバターに扮した私たち(学生)が務めます。来場者もアバターで参加します。案内役と来場者がコミュニケーションを取りながら、バーチャル空間でお祭りそのものと、学生との交流を楽しんでもらいました。「バーチャル道灌まつり」は、SNS上で公開し、来場者を迎える形で実施しました。来場者のなかには外国から訪問された方もいて、私たちも驚きました。今回の試みは、あくまでもテスト的に作成したものであり、大きな反応を期待するものではありませんでしたが、海外からのアクセスがあったことは私たちの自信にもなりました。

“いま”に合わせた変化を、デジタルを活用して実現することで新たな可能性が生まれる

「バーチャル道灌まつり」の制作は、デジタル技術の観点からは“メタバース”と呼ばれ、注目を集めているものです。私たちは”Cluster(クラスター)”というアプリを使用し実装しました。プログラミングはもちろん、バーチャル空間の作成についても自分たちでゼロから学習して取り組みました。不慣れな制作には、時間と労力を費やしましたが、その分、収穫もありました。”できる”、“できない”を議論するよりも、やり遂げるための方法を考えることで解決策が見えてくる。誰かに言われたからやるのではなく、当事者意識を持ちながら自分の仕事として取り組むことで、単純な作業でも「必要な仕事」として、高い意識を持って臨めることを体験しました。そして、地域創生とは、いままであったことをそのまま守るのではなく、”いま”に合わせて変化させながら継続させ、新たな価値を産み出していく、そこではデジタルが” 鍵”となり、有効に活用することで、これまで以上の可能性が生まれることを実感しました。これからさらにデジタルを活用した地域創生の可能性を探っていきたいと思います。

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※2021年度掲載