身近にある“なぜ?”に気づけるか?

観察力を磨き、ビジネス視点を身につける

阪本 彩音 マーケティング学科3年 神奈川県立川和高等学校出身

行動の背景にある心理や理由を探る「定性調査」

印象に残った授業に「行動観察で消費者を知る」があります。この授業の面白さを語る前に、マーケティング調査について説明したいと思います。マーケティング調査には大きく分けて二つの調査方法があります。一つのは、アンケートなどをもとに大量な回答データを収集する「定量調査」です。もう一つが、聞き取りや行動観察を通して人々の行動の背景にある理由を丁寧に拾い上げる調査方法です。これを「定性調査」と呼びます。この授業では、後者である「定性調査」の重要性と方法を学びました。

カップ焼きそばの麺の下に「かやく」を敷く心理

授業は、ふだんの生活の中の「なぜ?」を意識することから始めます。このテーマに対して、私は街の様子を観察することにしました。街の様子を観察する中で、居酒屋が多くある地域が気になりました。その地域のみ薄暗く感じたのです。理由を探ろうとさらに目を凝らして観察すると、その地域だけ街灯の数が少ないことがわかりました。「薄暗いのは雰囲気作りのため?」と私なりに仮説を立ててみました。この活動を通して、普段の何気ない活動や現象の背景には、何かしら合理的な理由があるのではないか?と考えるようになりました。その後授業で、エクストリームユーザー(極端なユーザー)がカップ焼きそばを作る様子を映像で見ました。私は、その人がお湯を注ぐ前に麺の下に「かやく」を敷いたシーンが気になりました。その人は、お湯を捨てる時に「かやく」が蓋に付くのが嫌で、そのような行動をとったのだそうです。普段、無意識にやっている行動も細かく観察することで、消費者心理が見えてくることが分かりました。

こだわりがある人も、ない人も、服を買う理由に違いはない

学期の後半では、チームでテーマを決めて消費者行動調査を行うことになりました。私のチームは、大学生が洋服を買う動機について調査しました。学生をおしゃれにこだわりがあるグループとおしゃれに関心が薄いグループに分けて、それぞれの行動を観察しました。調査に先駆けて私のチームは、おしゃれに関心がある人とそうでない人では、購入理由が異なるのではないか?と仮説を立てました。ところが、行動観察の結果、答えは予想とは大きく異なっていたのです。洋服の選び方に違いはあるものの、きっかけについては二つのグループともにデートなど特定のイベントを理由にあげていたのです。この体験を通して、洋服の売り上げをあげるためには、ファッション情報を提供するだけでなく、ファッションを楽しみたくなる状況を作り出すことも重要なのでは?と物事を多面的に捉えるようになりました。日常のちょっとした「なぜ?」を見逃さないことが、ビジネスのヒントになる。与えられた情報を鵜呑みにするのではなく実際を注意深く観察し、「なぜ?」の背景にある理由に迫ることで世の中の見え方が違ってくる。そのことをこの授業を通して学びました。

関連Topics

※2021年度掲載