Annual Report Vol.1


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表とするご当地キャラクターや、「弱虫ペダル」「黒子のバスケ」「ハイキュー!!」といったコアファン層を中心にしたアニメ等々、キャラクター市場の細分化が進む。言い換えれば、現在のキャラクタービジネスは、絞り込まれたターゲット層に向けて、商品戦略、流通戦略、プロモーション戦略を選択し、多様化する生活者のライフスタイルや価値観に応えている。日本市場への最適化も含め、こうしたきめ細かいマーケティング戦略こそが日本のキャラクタービジネスの大きな特徴だ。現在、キャラクタービジネスを展開する多くの企業が海外市場へ注力し始めているが、日本市場で大きな市場を形成するキャラクターでも海外で成功している事例は少ない。ビジネスモデルも含め、特殊な日本市場に最適化されたキャラクターを海外展開するのは簡単ではないのだろう。海外市場で最も大きな市場を形成する日本のキャラクターは、おそらく「ハローキティ」だが、その成功の背景に“ライセンスビジネス”と“ローカライズ(現地化)”があることを付け加えておきたい。【図表1】キャラクター商品の小売市場規模の推移【図表2】2014年キャラクターランキングベスト20(全体)27最適化された日本のキャラクタービジネスの特殊性株式会社キャラクター・データバンク代表取締役社長陸川和男2014年のキャラクター商品の小売市場は、前年比7.6%増の1兆6,900億円と大きく伸長した(キャラクター・データバンク調べ)。市場を牽引したのは、周知のとおり「妖怪ウォッチ」と「アナと雪の女王(アナ雪)」。いずれも発売されたほとんどのキャラクター商品がヒットするという、まさに社会現象となった。「妖怪ウォッチ」「アナ雪」のヒットによる影響は決して小さなものではなく、それにより市場シェアを縮小させたキャラクターも数多い。特に、未就学児から小学生低学年の市場は、これまで定番キャラクターやシリーズ作品のキャラクターが長らく市場を牽引してきたが、両キャラクターの登場により市場の勢力図は大きく変わった。しかし、それを差し引いてもあまりある結果となったのは、両キャラクターの勢いがあまりに大きく、それがキャラクター全体への関心を呼び、市場の底上げにつながったからだ。ゲーム、アニメ、マンガ、商品を巻き込んだクロスメディア戦略と、コンテンツの魅力により大ヒットした「妖怪ウォッチ」だが、定番作品とは異なる、日常にこだわった世界観を設定したことにより、他の定番作品と差別化が図られ、子どもたちにとって身近なコンテンツとなっていった。日本市場に最適化した作品性は親をも巻き込み、15年3月末現在、「妖怪ウォッチ」の関連商品の市場規模は2,000億円を突破した。「アナ雪」も女性のライフスタイルの変化に対応し、新しい“プリンセス像”を提案し大きな共感を生んだ。興行成績は日本歴代2位となる254億円を突破。音楽が牽引した側面も大きいが、これほどまでに社会現象化した背景には、“大人ディズニー”を標榜する日本市場に向けたローカライズ戦略があるといえるだろう。奇しくも2014年のキャラクタービジネス市場を牽引した「妖怪ウォッチ」「アナ雪」とも、日本市場に最適化した戦略が奏功した結果、と見ることができるのだ。一方、大人向けの市場、特に女性市場では、「ディズニー」「スヌーピー」「ムーミン」といったエバーグリーンな海外キャラクターをはじめ、「ふなっしー」「くまモン」を代


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