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コンテンツ業界の今を語る 株式会社 comcept 稲船敬二氏

株式会社 comcept 稲船敬二氏 × 情報マネジメント学部准教授 柴田匡啓

ゲーム業界の今とこれから

どう変化しなければならないのかに気づいている経営者はまだまだ少ない

柴田:「コンテンツ業界の今を語る」リレーインタビュー、コンテンツ業界で活躍されている様々な方にインタビューをお願いしています。今回は、元株式会社カプコンで、ちょうど1年3か月ほど前に株式会社 comceptを立ち上げられた稲船敬二さんにお願いすることになりました。どうぞよろしくお願いします。

稲船:こちらこそ。

柴田:まずは、ゲーム業界で今起こっていることや、今後どうなっていくとお考えになっているのかをお聞きしたいと思うのですが。

[写真]稲船敬二氏×柴田匡啓

稲船:そうですねえ。ゲーム業界に関しては、本当にめまぐるしく変わってきていて、特にここ1~2年は、変革期に来ているのかなあ?と思っています。やはりよく言われているように、ソーシャルゲームが台頭してきたというのが大きいですね。何が「大きい」のかって言うと、「ファミコンからプレイステーションになりました」とか、「プレイステーションがプレイステーション2になりました」、というハードの性能変化とは違うんですよ。あの時の変化は、「お金儲け」つまり、ビジネスの変化ではなかったんです。結局、ゲームビジネスっていうのは、任天堂さんが「ファミコン(ファミリーコンピューター)」を発売した1983年の時のビジネス形態の変形でしかない。何も変わってない。それが、20年~30年続いたわけですよ。それに対して、今回の変化は、ゲームの変化以上に、ビジネスが変化している。「変化」と言うよりゲーム業界の「変革」ですよ。このことに、みんながどう気づいているか、だと思うんです。確かに、数字的な話としては経営者はみな気づいているんですよ。発売当初にお金が入る「パッケージビジネス」から、毎月いくら入るという「サービス」としてのビジネスに変わっているわけですから。
ただ、そういう変化によって、会社自体がどう変化していくか、どう変化しなければならないのかに気づいている経営者はまだまだ少ないんです。会社としては、本当は人的資源も変えなければいけない。例えば営業に関していえば、これまでのパッケージビジネスであれば、基本的には、営業に行って販売店に「これ買ってください」っていうことですから、たくさんの営業を使って販売店に対応して、販売店が「あ!これ売れそう!」って思わせるプロモーションであればよかった。

B to BからB to Cへ

柴田:まあ、通常の営業活動ですよね。

稲船:そう、B to Bの営業ですよね。これが、今までのビジネスだったわけですよ。確かにユーザーに買ってもらうための、テレビCMはメーカー側が打って、その部分はB to Cと言えたかもしれません。
でも、今回の変化であるソーシャルゲームっていうのは、もう完全にB to Cですよ。B to Bっていうのは、ほぼ無いですね。
で、ここってすごくデカイんですよね。つまり、B to C用の人材と、B to B用の人材っていうのは、全然違うんですよ。そこまで対応させないと、完璧な対応にならないですよ。ここが、「ゲームの変化」って単純に言っている変化とは違う。で、みんなは、今までその変化が20数年間、四半世紀も無かったから、今後も変化は無いもんだと思っているわけです。

柴田:今後もずーっと変化がないと!?

[写真]稲船敬二氏

稲船:勝手に思い込むんですよ。やっぱり、20数年変化がなかったわけですから、今の変化を、ハードの性能変化と同じ考え方をしてしまうんですね。ここが、一番この業界の中で、まずいところなんです。僕は、そのB to Cの部分に対して、もっと業界全体が力を入れていく必要があると思うんです。よりユーザーに近いところでゲームを作るっていうことをしないと。これは、ソーシャルビジネスだけじゃなくて、これからも多分無くならないであろうコンシューマービジネスというところでも、B to Cが入らない限り、ダメです。B to Cを一回経験したユーザーが、メーカー側が、「ちゃんとやってくれた、対応してくれた!」ということがあるのに、メーカー側が「知らないよ!」っていう対応をするB to Bのゲームなんかに興味無くなりますよ。それは、ただオンラインでつなぐとかっていう単純なことじゃないですね。やっぱりそれは、売りつけることから、サービスに変わるっていうところ。そこが、すごく大事かなあと僕は思っています。その変化に対応した、新しい人材、結局は、学生もそうですけど、それを理解した上で、ゲーム業界などを目指さないと、20年前のゲーム業界を目指したって、自分たちの未来は確実に無いですよ。今の大学生がこれから3年生になって、就職活動でゲーム業界を目指していても、20年前の考えで挑んでもダメだと思いますよ。20年後に挑まないと。完全にB to Cということを考えに入れていかないとね。

柴田:なるほど、学生の方もそういうことをちゃんと考えていかないとならないんですね

稲船:まあ、それでもゲームをやる側はそれをちょっとずつ理解しているんですけどね。ビジネス側はなかなかそれを理解できていない。そういう意味では、ソーシャルビジネスというのは、B to Cの部分を学ぶっていうところでは、すごく大きいのかなあと思っているので、これからのゲーム業界が進んでいく道というのは、わかりやすく言うと、B to Cをいかに理解していくか、そしてそれを制したメーカーが、勝ちます。それを理解しなかったメーカーは、落ちます。

柴田:あまり具体的な話になってしまうと、書けなくなっちゃうので、、、、

稲船:そうですねえ。ただ、具体的な話ではないけれども、僕は、基本的には、今台頭しているメーカーは、油断していると、全部落ちていくかもしれないと思っています。しかも、今は油断していると思います。まだ、甘いと思います。「わかってるわかってる!」といっている。

柴田:ちょっと、それ以上は! 本当に何も書けなくなってしまいます。

稲船:それじゃあ、ちょっと喩え話で行きましょう。タバコ吸う人に、「もう、タバコやめたら?」というと、「いやあ、わかっているんですけどねえ。体に悪いのはわかってるんですよねえ。禁煙の所増えたしねえ。やめようと思ってるんですよ。でも、やめられないんですよ。」って言ってるのと同じなんです。それって、やめる気ないんですよ。そうだったら、「やめようと思ってるんだ」って、言わないほうがいい。

柴田:逆にねえ。

稲船:だから、「もう、やめない!無理!」、「俺、根性ないから無理!」。「体に悪い?そんなことわかってない!」「別に今、病気じゃないし!」って言ってるほうが、まだまし(笑)。わかっているならやめようよ。脳みそが理解していたんなら、やめようよ。だから、脳みそで先ずは理解しなければいけないんですよ。

柴田:なるほど。

稲船:B to Cも、まずは脳みそで理解できなければならないんです。「サービスなんだ!」ということを理解できないと。

[写真]柴田匡啓

柴田:具体的にはどうなるんでしょうか?

稲船:例えば、「これから、営業はいらんなあ?営業の人員減らしていかなアカンなあ?最低限の人員だけ残して、部署半分にしよう!それで回るよな!?」と思ったとして、「その分、カスタマー対応の人員を倍にしよう!」と、本当に動けるかって言うことなんですよ。

柴田:ああ、完全に人的資源を変更していかなければならない、それを本気で実行できるのか?ということですね。

稲船:その時にね。「いやあ、ここで営業のリストラはちょっと!うちとしては難しいなあ。」「この部をなくすのは無理だなあ!」となってしまう。さっきのタバコの例で言うと、「いやいや、ちょっと飯食ったあとに吸いたいんだよなあ?」って言っているのと一緒なんですよ。「吸いたいも何もない!やめるんだから!」ということなんですよ。

柴田:なるほどねえ。

稲船:それを、自分の意思ではないところで、「他のメーカーが営業を減らしてきたら、うちもやるけど。」みたいになってしまう。

柴田:まあ、横を見てですよね。

稲船:それは、タバコの例で言えば、「タバコ一箱千円になったらやめるんだよね!」って言ってるのと一緒なんですよ。だから、人に預けてるんですよ。判断を!
判断を人に預けて、「タバコを千円にしてくれれば俺はやめるんだよ。買うの無理だから。」って言うんだけどね。
ゲームメーカーも同じ。それが顕著に現れているのが、「大手のA社がソーシャルビジネスで儲かったら、うちもソーシャルやるよ!」という姿勢。A社が儲かってなかったら、未だにやっていないですよ。
タバコをやめるというのを頭ではわかっていても理解していない。ゲームメーカーだったら、ソーシャルビジネスを頭で理解していない。
小さいところの方が理解できているのは、もともと大きいメーカーには対抗できないから。20億、30億円かかるコンシューマーゲームは、うちの会社では作ることはできない。そう思っているから、仕方なく二千万、三千万円のゲームを作りましょう、ということになる。タバコ買えないんだもん。やめるしかないでしょう?だからタバコ吸いません!
こういうところの方が強いんじゃないかなあ?て、僕は思っています。

[写真]稲船敬二氏

なぜ、GREEやMobage(株式会社ディー・エヌ・エー)が強いのか? 本当だったら、大手ゲームメーカーもこの地位に行けたはずなんですよ。大手には到底及ばなかったこの2社が、今ではそれ以上の知名度になっている。これが現実なんです。しかも、この2社でヒットしているゲームは、昔からのタイトルとはぜんぜん違う。結局GREEやMobageが作っているオリジナルタイトル、「ドリランド」や「怪盗ロワイヤル」が上位を占めるわけですよ。ということを考えると、ゲーム自体のネームバリューもいらないんですよ。そういったことを考えると、すごいチャンスなんです。小さい会社、今の学生も。学生も、まず大手ゲームメーカーに入らないと花開かない、大活躍できない、じゃなくて、「仕事自体で花を咲かせよう!」と、伊勢原で、、、、

柴田:ないんじゃないですか?伊勢原には!?

稲船:いや、わからないですよ。小さいゲーム会社があって、そういうところがワンタイトルで大ヒットを飛ばすことも十分ありえるんですから。すごい宝の山がいろんな所にある。本当にそんな感じがしています。今のゲーム業界は。面白くなっているんですよ。ある種の戦国時代ですよ。

柴田:そうですねえ。本当に面白いゲームを作ったところが、流通経路や販売経路を持たなかったとしても、成功する可能性はすごく大きいですもんねえ。

稲船:僕は三国志が好きなんで、、、。漢王朝があって、それに董卓(とうたく)とか袁紹(えんしょう)のような色々な勢力がある。それが、大手ゲームメーカーですよ。で、そこに小さな勢力が「俺達も頑張るよ~!」って言い始めて、ガーッと大きくなって、新しい国を作るかもしれない。今は、袁紹のもとに曹操(そうそう)がいるかも知れないけど、曹操が袁紹を倒して、、、、、、ということを、考えられる時代になったんですよ。

柴田:まさに戦国時代。下克上が始まるということですね。

稲船:これがちょっと前だったら、大手には勝てなかったんですよ。いくら頑張って、国も土地もないし。でも、乱れてきているから、土地を取ろうと思ったら取れるし、食い込もうと思ったら食い込めるし。そんな感じで面白い時代かなあ。大変な時代だけど、すごく面白い時代になっている。
特に独立してからこの1年、大手メーカーにいて、そこから見るゲーム業界と、メーカーから離れて見るのとでは、違うんだというのを感じています。メーカー側から見ると、「メーカーの見方」で見てしまう。今はそうではない見方ができているので、カプコン時代だったら、絶対に会えなかったような人とも仕事が出来るようになりましたねえ。

リアルとバーチャルを切り離す必要がなくなっているんですよ。

柴田:ところで、独立して1年経った稲船さんが、今後作っていきたいゲームって何でしょうか?

稲船:今後やりたいってことは、今までのゲームとは違うゲームなんですよ。これは何かっていうと、今までって、「ゲーム」という中身のアイディアをどう変えるか?っていうことを考えてたんですね。結局「ゲーム」っていうお題、例えば「プレイステーションのゲーム」っていうお題をもらってその中で何を作るかをカプコンの時にやってました。ここが、今は違うんですね。そういうお題じゃなくて、もっと大きな意味で「ゲーム」というのを考えて、それがプレイステーションにはまればはめるし、、、、、と考えているんです。

柴田:なるほど!なんとなくはわかる気がしますね。

稲船:結局、リアルとバーチャルを切り離す必要がなくなっているんですよ。「ゲーム的な」っていう考え方で言うと、バーチャルでゲームは作ってる訳ですよ。物語考えて、そこで遊び考えて、ってやってるんですけど。ソーシャルゲームっていうのは、リアルとバーチャルを混ぜ込んでいるんですよ。例えば「怪盗ロワイヤル」っていうゲームを作って、それは、自分が怪盗になって人のものを盗み出す、って事じゃないですか。その時に、「盗んだ」っていうのを、これまでのゲームだと、ゲームの中の話だけだったんですけど、このゲームの場合は、僕が盗むと柴田さんは盗まれてしまうんですよ。「ちょっと待てよ!俺がせっかく集めた宝物を誰が盗んだんだ!?」っていう、リアルがあるんですよ。

柴田:なるほどね。ゲームの中だけで収束していないで、それが実社会へも出てしまっているんですね。

稲船:それがひとつのヒントになるんですよ。そういうことがもっと複雑になって来ると思いますよ。それが一番人間の感情を揺さぶるし、自分が泥棒になりました、悪いことやっちゃいましたって言うことを想像しなければならない。
想像できない人は、ゲームは面白くない。逆にゲームが面白く無いという人でも、川端康成の小説は面白いと思うかもしれない。「やっぱり川端康成はいいなあ!」と文学作品を読んで言うわけですよ。これって、ゲームにも入れますよね?小説を読んでいるときには小説の中に入っているでしょ?だから、ゲームの中にも入れるんですよ。それを、「ゲームだから子どもの遊びでしょ!」と思って、川端康成とは違うって思っちゃっているから、入れないだけで、本当は入れるんですよ。でも、そういう壁でゲームに入れない人はいっぱいいるんですよ。
その壁と、リアルの間、その中間でゲームを作り始めると、より「想像」しなくても入っていける、って言うことだと思うんですよ。だから、そういうゲームを考えだすことによって、よりB to Cな考え方になると思う。

柴田:なるほどねえ!

稲船:あまりヒントになることばっかり言えないんですけど(笑)。いくつか考えていることの一つはそういうことなんです。確実にこれからのゲームはそこに行くんです。そこで、いかに新しいこと、面白いことを考えられるかが僕の仕事だと思っています。

[写真]柴田匡啓

柴田:身近な具体例でそういうゲームってあるんでしょうか?

稲船:今の人達って、すでに生活の中にゲームが入っていますよね?

柴田:普段の生活の中にですか?

稲船:電気量販店のポイントカードなんか、完全にゲームですよ。自分ではゲームだと思ってないと思いますけど、ポイント貯まってきたことによって「あ、2000ポイント貯まったからあれ買える!」とか「こんなに貯まったけど、何に使おうかな?」と思ってるじゃないですか?あれはゲームなんですよ。ゲームから来てるんですよ。だから、ポイントカードひとつとっても「ゲーム」なんです。でも、その感覚、「ゲーム」という感覚を持っていないだけなんですよ。その思ってもいない感覚を利用するんです。「ゲーム」だって言っちゃうと、どうしても入り込めないかもしれないから、知らない間に「ゲーム」させちゃう。そうすれば、ゲーム人口がどんどん増えていく。GREEやMobageも一緒ですよ。あれは、わざと「ゲーム」っぽいゲームを作っていない。「ゲーム」に拒否反応を示す人も「怪盗ロワイヤル」はやっていたりする。

柴田:本人はゲームをやっている感覚がなかったとしても、普段の生活の中でちょっと時間を潰しているだけでも実際には「ゲーム」をやっているんですね。

稲船:だから、今は「ゲーム」という言い方をしないで、「アプリ」という言い方をしている。「ゲームアプリ」もあるけど、「実用アプリ」もある。
作る側に立ってみても、「ゲームを作っている」というのではなく、「アプリを作っている」という感覚になってきている。こんなふうに時代が変わってきているんです。
だから、「稲船さん、今度どういうゲーム作るんですか?」、「こういうゲームつくろうと思ってんだよね!」では無くなっている。

柴田:いやあ、バカな質問をしてしまいました。すみません。

稲船:いえいえ、実際にはゲームを作るのかもしれないけど、未来に向かってはもしかすると「ゲーム」とは呼べないかもしれない。もちろんゲームのノウハウはいっぱい使います。

柴田:コンテンツ系の授業で150人くらいの学生に、「この中で普段から音楽を聞いている人?」と聞くと、ほぼ全員の手が上がるんですけど、「この中で普段からゲームをやる人?」と聞くと、3割程度しか手が上がらない。ただ、よく聞いていると、なめこ育てたり街作ってたりしている学生はもっとたくさんいるんですよね。3割の手を上げた学生は、家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機で「モンハン」なんかをヘビーにやっている子たちで、スマホや携帯のカジュアルゲームは、その中に入っていないんですよね。

稲船:そうでしょうねえ。音楽の場合は、最近ヒットしている曲しか聞かなくても、クラシックからジャズまでジャンルにこだわって聞いている人も両方共手を上げますよね。音楽はそういう認知のされ方をしている。だから質問変えてみればいいんですよ。「ゲームやる人」ではなく、「アプリ使ってる人」という質問だったら、手を上げる学生はもっと増えますよ。さっきの話じゃないですけど、「なんかのカードでポイント貯めてる人」なんて聞き方したら、ほぼ100%ですよね。

学生に伝えたい事

柴田:最後に、学生に伝えたい事をお願いします。

稲船:学生の皆さんには、まず「自分たちの利点」を考えて欲しいです。まず、「若さ」があります。「若さ」っていうのは何かっていうと、僕は「脳みその柔軟性」だと思うんですよ。基本的には何も意識しなくても柔軟なはずなんですけど、学生はそれを忘れてることが多い。学生なのに頭固い子が多い。まだ20歳かそこらだったら、80年生きるとしたら、あと60年ある。60年あれば、いくらでも失敗できるし、いくらでもやり直せる。40、50歳の人はあと30年、40年しかないですよ。そう考えていくと、その人達は失敗できない。だから頭固くなるのは仕方ないです。でも学生さんは、もっと柔軟に考えて、「誰かが決めたことを決められた通りにやる」じゃなくて、「自分たちが新しいことを決めていく」「新しいゲームを自分たちが考える」「新しいシステムを自分たちが作っていく」という感覚になって欲しい。それが出来れば、明るい未来がそこにある。それを支えているのは今の学生にしか無いんですよ。知らないからこそできることがある。知らないからこそ怖くない。「知ってるから怖くてできない」って、いっぱいあるじゃないですか。知らないんだからやってみようよ!みたいにならないと。「ゲームってこうやって作るんだよ」って言われても、「いや、知らないから!好きに作らせて!」って言って作ったら、面白いゲーム、面白いシステムができるかもしれない。

[写真]稲船敬二氏

システムって、まさにそうですよね。「ゲームはお金取らなきゃいけないんだ」って言われてたのに、Mobageが「お金取らなくたって、まずは人を集めればいいじゃない」って始めちゃった。だから元々ゲームをビジネスとして商売していた会社が、「無料ゲームで人を集める」って絶対言えないじゃないですか!だからできなかったんですよ。これが「柔軟性」だと思うんですよ。大手ゲーム会社から絶対に出てこないアイディアがそこにあるんですよ。「たかがゲームでしょ!」っていうくらいの柔軟性が、すごく必要だと思う。
もう何年も産業能率大学では話させてもらってますけど、学生さんにはそれがある。「自分たちは若いんだ!自分たちが新しいことを考えるんだ!新しいことを自分たちがやっていくんだ!」って考えて行って欲しい。過去成功したものをなぞっていったって、自分たちの未来無いですからね。過去のものは参考にしかならない。
ただ、最近は若い人にそういう感覚がちょっと感じられなくなっている気がする。薄くなっちゃってる。

柴田:そうですね。「怖がり」になっているような気がします。

稲船:先輩たちの育んできたゲームビジネスを守ろうと思っているのか、そのほうが楽だと思っているのか、わからないですけど、「新しいことでぶち壊してやろう!」っていう気持ちの人が少ないなあ。

柴田:多分考えてはいると思うんですけど、それを主張していいのか躊躇している、引いちゃっているような気がしますね。「フィールドは自由だよ!」と言ってあげても、学生の方は「これはこうなっているし、これはこうしなければならないし」と言って、自分で規定していってしまう感じはします。なんか「学生らしくないなあ!」と思ってしまう。

稲船:若いって言うのは、無茶できるっていうことなんですけどねえ。だから、もう一つ学生に言いたいことは、「無茶やっちゃって欲しい」ということなんです。無茶できるっていうのは何かって言うと、「やり直せる」って言うことなのに、やり直せないって、どこかで思っちゃっているんですかねえ?だから臆病になってしまう。失敗したって、会社クビになったって、「別の会社入ればいいじゃん!」っていう気持ち。それでいいと思うんですよ。50歳超えた人がクビになったら、困るんでしょうけど。そんなこと無いんだから。本当、思い切ってやってもらいたいと思います。

柴田:ありがとうございます。これを見た学生はぜひ、そういう気持ちで今後はやっていって欲しいと思います。

稲船:産業能率大学の学生は、いいですよ。僕も年間何回もいろいろな講演をしていますけど、大学の中では本当に真剣に聞いてくれていると思います。お世辞でも何でもなく!
期待していますから、がんばってください。

柴田:今日は本当にありがとうございました。

2011年12月

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