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第6回 「あふれる90人の笑顔は偶然なんかじゃない!」

リレーエッセイ 第6回

「あふれる90人の笑顔は偶然なんかじゃない!」~デジタルコンテンツ・クリエイティブ交流イベント:「HAMA-CRE+」を終えて~ 情報マネジメント学部准教授 川野邊 誠

デジタルコンテンツラボが「ハマクリ・イブニング」と出会ったのは,今から3年前.横浜の馬車道で,毎月一回クリエイティブ活動に興味を持つ者同士の交流サロンが開催されていることを紹介されたのがきっかけだった.クリエイターだけでなく,企業,教育関係,行政,そして学生など,クリエイティブ活動に興味がある人々の横のつながりを深めようという本イベントの趣旨に共感し,参加してみると思いのほか面白かった.
「ハマクリ」には,クリエイティブという共通のキーワードがあり,適度なアルコールの作用も相まって,来場者同士の話が自然と盛り上がる空気があった.一回,二回,三回と参加していくうちに,そこで交わした何気ない会話の中から,日頃の講義に活用できそうなネタや新たなコラボレーションの可能性を見出すなど,すっかりハマクリ好きになっていた.
単なる「お客さん」として参加していた我々デジタルコンテンツラボ教員だったが,ハマクリの主催者であるDigital Camp!の代表:渡部健司氏と交流を深めるにつれて,イベントの準備に参加したり,イベントについての意見交換をしたりするなど,次第に「運営者」に近い立場で参加するようになった.昨年度末には,「大学生がハマクリ一回をフルプロデュースする」提案が持ちかけられ,実現に向けて準備に取りかかった.
デジタルコンテンツラボに所属し,今回の提案に興味を示した学生10名は,これまでに学修してきたコンテンツビジネスや企画についての知識や経験を総動員して企画に打ち込んだ.9,10月のハマクリにスタッフとして参加し,問題発見や企画コンセプトのヒントを探した.
そんな中,彼らが企画の軸としたのは「原点回帰」だった.2回のハマクリに参加した学生達の目には,ハマクリは「交流の場」ではなく「セミナー」と映ったよ うだった.興味深い話を聞くことはできるが,来場者同士の交流を持つ時間や雰囲気が無いと感じた彼らは,ハマクリ本来の「(学生も含めた)クリエイティブな活動に興味を持つ 者同士の交流の場」を創ることをコンセプトとした.我々大人の目から見ると,現状のハマクリでも十分な交流の場であったが,学生の目にはそうは映らないらしく,軽くショックを受けた.さらに学生達は,ハマクリのような有意義な場が若い人たちに周知されていないことを指摘し,自分達のプロデュースするイベン トのターゲットを「学生」とすることを決めた.「普段交流する機会の少ない学生とクリエイターが触れ合うきっかけを作り,お互いが新しいことを知るきっかけを提供する」ことを具体的なコンセプトとして掲げた.コンセプト実現のための企画内容として,自分達の手で新進気鋭のクリエイターや技術者を探し,その クリエイターと作品をライズするとともに,学生とクリエイターとの交流をイベントの柱とした.
イベントに招致するクリエイターや技術者を探すために,学生達は各種展示会に足を運び,自分達の目で作品や製品を見て,実際に話をして,独自の評価項目に基づき評価を重ねていった.彼らの接したクリエイターや技術者は,合計1200名に及び,その中からターゲットにとって興味深く,イベントの雰囲気にあった 方を選出し,出演仮交渉等をクリアした6組を決定した.
ここまでに要した時間は3ヶ月.色々な展示会に足を運び,企画内容についてDigital Camp!の方とのミーティングを何度も行い,ボツになった企画は数知れず・・・.学生達は,プロの仕事の厳しさと,自分達の考えの甘さにくじけそうになりながらも,イベントを成功させるための歩をとめることは無かった.なんとかイベント企画の大枠について主催者からGoサインが出され,具体的なオペレーションについての企画が始まったのが11月.イベントは1月8日に開催.

正月らしいイベントを盛り込もう,会場の配置はどうしよう,装飾は?肝心のクリエイターはどうやってライズする?どうやって交流を促進すれば良い?ドリンク とフードはどうする?クリエイターのギャラや交通費は?会場使用料っていくら?そもそも,予算達成するためには入場料いくらで何人来ればOK?

「あのぉ,イベント2ヶ月前なんですけど・・・.」監督指導している私は焦りまくりですが,これはあくまでも学生の力で進めることに意義がある企画.彼らを信じるしかありません・・・.

連日連夜のミーティング,帰宅後にはSkypeでミーティングというハードワークを重ねに重ね.ダメ出しをたくさん受けて,結局全ての企画が整い,当最終企画書と予算書,宣伝のためのフライヤーやチケットができたのが11月下旬.当日のタイムテーブル,会場設営図,照明や音響・映像のセッティングが 何とかクリスマス前に整いました.その後,大学は冬季休業期間となり,学生達はファミレスや友人宅で活動を続けました.年が明けて,当日の司会台本ができたのはイベント数日前.滑り込みセーフもいいところです.
迎えた1月8日.イベント開始の5時間前に開場入りし,最終打ち合わせと準備に取り掛かりました.舞台セッティング,観客席のセッティング,会場内の装飾, 音響,照明,映像機器のセッティングと時間に追われながらも順調に準備が整いました.出演者の方々も時間通りに会場入りしてくださり,リハーサルも無事終 了.あとは,お客さんの来場を待つばかりとなりました.18時半くらいから徐々にお客さんが集まり始め,イベント開始時点で会場はほぼ満席となりました.
定刻となり,緊張と共にイベントがスタート.場の雰囲気が和むようにと考えた通常のハマクリにはない「乾杯」から始まり,最初の出演者とのトークショーにみんな興味深く耳を傾けています. 作品紹介の後,最初の交流タイム.「みんな席を立って,いろいろな人と交流してくれるか?」学生達が一番気になっていたことです.交流を促進するために,来場者には自己紹介カードに記入してもらって首からさげてもらう,各クリエイターの周りにバランスよく来場者を誘導する,いざとなったらメンバーがファシリテータとなるなどのさりげない仕込みが機能するのか・・・.結果として,イベント中に設けられた全ての交流タイムでは,ほとんどの来場者が席を立ち,いろいろな人と交流していました.その後の出演者も興味深いお話や,作品・製品を披露してくださり,狙い通りの盛り上がりを見せました.イベントの中では,その場で絵を描くライブアートや正月らしく鏡割りと振る舞い酒もあり,緩急つけたすばらしいイベントに仕上がりました.結局,学生達は3時間半に及ぶイベントを狙い通りプロデュースすることに成功したのです.

結果として,来場者は90名を超え,その人たちの笑顔を作り出せたことに,学生達の顔は大きな達成感に満ちていました.また,いろいろな人と協力して自分達の力で企画を実現できたことへの自信もみなぎっていました.今回の経験は,学生達にとって,今後のあらゆることへの糧となることかと思いますし,デジタルコンテンツラボとしても大変貴重なノウハウの蓄積となりました.

最後にこの場を借りまして,当日ご来場くださいました皆様と今回の企画でお世話になりました全ての方々に感謝いたします.本当にありがとうございました.

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