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第3回 「芸術の秋ということで…」

リレーエッセイ 第3回

「芸術の秋ということで…」 情報マネジメント学部教授 北川 博美

[写真]草間彌生「花咲ける妻有」

今年の夏、新潟で「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009」(7/26~9/13)という催しがあり、出かけてきました。これは3年に1度の現代アートのフェスティバルで、2000年のスタート以来4回目の開催です。760平方キロメートル(東京23区の1.2倍)にわたる越後妻有地域(新潟県十日町市+津南町)の里山に、300以上の作品が点在しているのを見て回るアートプロジェクトです。

現代アートというと、なんかよくわからない、というイメージが結構あると思いますが、確かになんだかよくわからないのかも・・。
例えば、ほくほく線(名前がかわいい)の「まつだい」駅を降りると草間彌生の巨大な花のオブジェが土手の上に鎮座しています。

[写真]Jenny Holzer「Nature Walk」

山の中へ入り、けものみちのような細い道を、木にしばってあるピンクのリボンを頼りに歩いて(ヘンゼルとグレーテルか)、行けども行けども何もないのでは?と思う頃、ふと足元を見ると、何でもない石に「I SEE YOU」と刻んである!気づくといろんなメッセージの刻まれた石がぽつんぽつんと道の端に見つかるのです(作品名は「Nature Walk」、うなずけるような、まったくわからぬような)。

[写真]本間純「森」

冬はスキー場になる山のふもとの野原に、突然箱が置いてあって、窓から中をのぞくとちびた鉛筆が7000本立っているという作品も。作品名は「森」でした。
でも、遠足気分、ハイキング気分で、ただただ楽しめます。
広大なエリアですから、いろんな作品を見て回るためにツアーバスが出ており、それに参加しました。参加者には高齢の方も、現代アートとはおそらくあまり縁がないのでは?と思われる方も大勢いました。その方たちも、別に「現代アート」と構えることなく観光ツアーとして楽しんでいるのです。先ほどの鉛筆の「森」も、ガイドさんから説明を受けると、「なにこれ?」でなく、「おもしろいー」「楽しいー」という反応。そしてその後すぐ「あら栗がなってる、もうすぐ食べられるわねえ」と取り巻く自然を満喫(笑)。いいなあ。

越後妻有は過疎高齢化、限界集落などの問題を抱える地域です。また2004年の中越地震の被害も受けています。廃校となった小学校の校舎や空家となった廃屋もたくさんあります。芸術祭では、これらを作品として再生する空家・廃校プロジェクトも目玉のひとつです。作品の中には地域の問題を取り入れた作品も数多くあります。

[写真]伍韶勁「Wind Chimes 風鈴」

公民館の2階の壁に、金属の枝を幾何学模様に組み合わせた風鈴がかけてあります。風鈴の数はこの集落に住む家族の数(1ケタです)。そして風鈴の模様は、住む人の手相と、地震の時の各家の柱の亀裂と同じなのです。手相は地震で大地に残された亀裂と同じで人生に刻まれた溝なのだと。風鈴は各家の玄関でも揺れていました。


この芸術祭、現在は「越後妻有里山協働機構」というNPO法人が運営しています。各作品展示施設の受付やガイドは「こへび隊」(うーこれも魅力的なネーミング)と名づけられたボランティアがすべて担当しています。スタッフは主に関東地方の美大の学生や会社員、そして地元の人々、定年を迎えた方々も元気にツアーバスのガイドをされたりしています。

[写真]こへび隊ロゴ」

第1回当時は、地元の人々の理解がなかなか得られなかったそうですが、徐々に浸透していったとのこと。今回も、道端で世間話をしてくれたり、作品の展示会場で手作りの漬物やおにぎり(米どころですから)を販売したり、元気な地元の人たちがいっぱいでした。
また、コラボグッズの楽しさもこの芸術祭の魅力です(個人的には)。お米一粒の形をしたパッケージに入ったコシヒカリ「ツマリ・コメ」やハッカ飴などの「ツマリ・オヤツ」、もちろんアーティストグッズも楽しめます。
10月からは、大地の芸術祭秋版が始まっています。秋は里山の紅葉も美しいでしょうし、なんといっても新米の季節!米どころはおいしいお酒も!(最後は食欲の秋でした)時間があれば出かけてみてはどうでしょうか?
大地の芸術祭-越後妻有アートトリエンナーレ2009秋版-
http://www.echigo-tsumari.jp/2009autumn/summery/detail.html

<こちらもどうぞ>10月末から11月末まで、横浜で大規模な映像祭が開催されます。産業能率大学の学生もボランティアスタッフとして参加しているイベントです。こちらもぜひお出かけ下さい。「CREAMヨコハマ国際映像祭2009」
http://www.ifamy.jp/

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