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調査報告書
スポーツの観戦嗜好に関する調査

スポーツの観戦嗜好に関する調査

産業能率大学スポーツマネジメント研究所(神奈川県伊勢原市/所長:宮内ミナミ・産業能率大学情報マネジメント学部長)は、「スポーツの観戦嗜好に関する調査」をまとめました。調査は昨年の北京五輪の前後にインターネットで実施。自身の競技・観戦などスポーツ経験、スポーツ中継や選手に関する好みなど70項目について当てはまるかどうかを聞き、回答数は2000人(男女各1000人)でした。

70項目の単純集計のうち、“選手の好み”に関連する質問で最も回答が高かったのは、「礼儀正しくまじめな選手を応援したい」(82.9%)でした。“スポーツ中継の好み”に関するものでは「実況は事実を正確に伝えるタイプが好き」(76.1%)が、そのほかには「トレードなどで、選手の流動性が高まるのはよいことだと思う」(67.0%)、「国内のトップ選手はどんどん海外に出て活躍してほしい」(67.0%)などの項目が高い値を示しています。

さらに分析を行った結果、男性と女性でスポーツ観戦の嗜好が明確に異なることが分かりました。男性は女性に比べるとスポーツ全体に対する関心が高く、情報感度が高い傾向が見受けられます。女性は、観戦動機は「家族が見ているから」など受動的な傾向があります。
男女別にさらに嗜好を細分化すると、男性では、選手やルールに詳しく情報を集めることが好きな「知識獲得タイプ」、庶民的な選手や地元出身の選手、あるいは“カムバック”した選手などが好きな「感情移入タイプ」、“観戦”嗜好ではありませんが「自ら運動タイプ」に分けることができました。女性は、観戦自体が好きな「観戦愛好家タイプ」、落ち着いた実況や専門家のゲストを好む「報道的視聴タイプ」、外見のよい選手やタレントゲストが好きな「娯楽的視聴タイプ」があります。
このように性別だけでなく、性別の中でもさらに観戦嗜好を分類できた今回の分析結果は、ファンの拡大やグッズ開発、広報戦略など、スポーツマーケティングの分野で活用できると考えられます。ただし、この成果は調査を行った北京五輪の時期に限定されるものである点に留意は必要であり、この成果の一般性を高めていくためにも、今後同様の調査・分析を実施していく予定です。

調査概要

調査期間
調査方法
調査対象

2008年8月6日〜8月7日(五輪開催前)、8月26日〜27日(五輪開催後)
インターネット調査
2000人(五輪開催前1000人、開催後1000人)
開催前後とも、20代から60代までの各年代で男女それぞれ100名ずつ

分析結果

項目ごとに性別による回答の有意差(回答の差に意味があるか=違いを認められるか)をカイ二乗検定によって確認しました。すると、70の質問項目のうち45項目(以下一覧)で、男女の回答で違いがあることが認められました。これは有意確率(どれくらいの割合で男女差が認められない調査結果がでるか)を統計学で一般的な5%に設定していますが、この基準を緩めて、有意確率を10%として有意検定すると70項目中60項目で違いが認められます。

続いて、男女それぞれに分けたうえで因子分析を行った結果、男女それぞれ主要な3因子を導きだすことができました。男性では、大きく「知識獲得」「感情移入」「自ら運動」の嗜好があり、女性では、大きく「観戦愛好」「報道的視聴」「娯楽的視聴」の3つの嗜好があることが分かりました。男性の「自ら運動」は、“観戦”嗜好ではないため、男性の観戦嗜好は大きく2つあることになります。

因子分析によるタイプ分類

観戦嗜好タイプ
●男性の観戦嗜好 ・知識獲得タイプ
・感情移入タイプ
●女性の観戦嗜好 ・観戦愛好家タイプ
・報道的視聴タイプ
・娯楽的視聴タイプ

今回の分析結果を踏まえると、スポーツマネジメントにおいて、観戦嗜好別のマーケティング活動が必要になると考えられます。
たとえば、特定のチームのファンの観戦嗜好を今回の調査のモデルを適用して分析することで、ファンの特徴を嗜好からとらえることができるとともに、逆にファンに取り込むことができていない層が明確になる可能性があります。観戦嗜好に基づくファン層の分析によって、ファンの囲い込みと開拓の両方の戦略を考える基礎データにできると考えられます。こうしたデータが有効なものであるなら、グッズ開発やイベント企画等にも同様に当てはめて活用していくことができるでしょう。
また、プロ野球、サッカーなど競技種目ごとによく観戦する、あるいは中継を視聴する層を抜き出すことができれば、この層の観戦嗜好を分析することで、競技自体の「媒体」としてのデータを蓄積できます。これによってスポンサー開拓や、競技の普及振興策の検討にも適用できると考えられます。

ただし、今回の調査結果の分析による成果は、あくまで北京五輪に限定されたものです。今後もスポーツイベント等で事例を積み重ね、この成果を一般化し、モデルを精緻にしていく予定です。

調査報告書の全文をPDFファイルで提供しています。

「スポーツの観戦嗜好に関する調査(PDF=543KB)」PDFを開く


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