調査活動
2003年度新入社員の会社生活調査

 本学では、新入社員の働く意欲や新社会人としての意識、将来の目標などを「2003年度 新入社員の会社生活調査」としてまとめました。この調査は1990年から継続して毎年実施しているものです。調査にあたっては、3月下旬から4月中旬にかけて本学マネジメントスクールが開催した新入社員研修に参加した企業210社の新入社員600人を対象に実施し、462人(男性:312人/女性:150人)から有効回答を得ました。
 長引く不況で明るい兆しがなかなか見えてこない日本経済にあって、今年の新入社員にはチャレンジ精神が希薄化している様子が窺えます。起業や独立志向が薄れ、就職した企業の中で通用するスキルの獲得に目が向くなど“寄らば大樹”の意識が見え隠れしています。めざす地位も部長クラスが最も多く、いわば小市民的な生活への安住が志向されているようです。


●就職状況は好転の兆し、就職活動にはインターネットを利用

 最初に内定をもらった時期は、「1年以上前」が30%と昨年よりも5%増えて就職協定が廃止された98年以降で最高となりました。逆に「約1ヵ月前」というギリギリ滑り込みの新入社員は5%で最低となっています。この数値から見る限り、新卒の採用状況は多少なりとも好転の兆しが伺えます。
 就職した結果には、「たいへん満足」が46%で95年度以降で最も高い数値となっており、「やや満足(45%)」と合わせると、9割以上が満足しているという結果になりました。
 就職先を選ぶ際にもっとも重視した項目は、「業種」が59%と2位の「企業風土(14%)」を大きく引き離してトップとなっています。
 就職活動におけるインターネットの活用は、79%が「よく利用した」と回答し、5年前(12%)と比較すると7倍近くに拡大しています。就職先への採用エントリー方法も51%が「Webで行った」とし、「電話(13%)」や「郵送(13%)」を大きく上回っています。


●起業・独立志向は減退し、管理職をめざす

 将来のキャリアプランについては、「明確なキャリアプランを持っている」が13%、「漠然とは考えている」が65%で、合わせて約8割が何かしらのプランを頭の中に描いているようです。転職については約8割が「キャリアアップ」とポジティブにとらえ、その比率も毎年高まっています。
 また、将来の進路としては、「管理職を志向する」のは昨年の22%から今年は30%へと上昇し過去最高となりました。これに対し、「独立して自分の会社を起ち上げる」という独立志向は12%弱と昨年より9ポイントも減少し過去最低となりました。ITバブルの崩壊もあって起業・独立はリスクが大きいと判断したのか、就職した企業での昇進を目指す姿勢が現れています。
 さらにキャリアアップを図るために役立つと思うものを挙げてもらったところ、トップ3は「外国語の能力(80%)」「資格(70%)」「社外の人脈(73%)」でした。


●出世のイメージは努力・能力の証

 “出世”という言葉から浮かぶイメージとしては、「努力・能力の証」という答えが27%でトップとなりました。昨年トップの「所得の向上」は、10ポイント下がって3位に後退しています。
 将来の目標とする地位については、「社長」とした人は16%で昨年より4ポイント減少したのに対し、「部長」と「課長」は昨年より増加しここ4年で最も高い数値となっています。起業・独立志向が減ったことと合わせて、将来の夢もこぢんまりとしたものになっています。
 また、仕事のキャリアを積み、将来の方向性がほぼ固まる年齢である35歳時のポジションについては、「役職にはついていない」が昨年よりも5ポイント減って過去最低となり、組織内でのポジション確保に自信を持っているようです。一方で、35歳時点での自分の年収について予想してもらったところ、“理想の年収”の「1000万円以上(34%)」は昨年よりも6ポイント減っており、夢が縮んでいる様子が窺えます。


●人事処遇制度での実力主義志向はやや薄れる

 人事処遇制度に関して、昨年は強い実力主義志向が表れていましたが、今年の新入社員については、その傾向がやや薄れました。まず「年功序列制度」については、「望まない」が昨年よりも6ポイント減少しています。また「終身雇用制度」についても、若干ですが「望まない」が昨年よりも上昇しています。一方、「年俸制度」については、「望む」が昨年より3ポイント以上減少しました。


●不正行為防止は経営者・幹部の責任だが…

 このところ企業経営において、利潤の追求にとどまらず社会の一員としての行動が求められていますが、今年の新入社員はどのように考えているのかを質問しました。
 企業経営において重要視されるべき対象については、63%が「顧客(消費者など)」と回答し、2位の「従業員(27%)」を大きく引き離してトップになりました。また、社会的には重要だが企業の利益につながらない社会貢献活動については、「社会の一員であるから積極的に取り組むべき」という回答が79%を占め、昨年より4ポイントアップしました。
 昨今、企業の不祥事が目につきますが、企業が不正防止のために最も重い責任を負うのは誰かの問いには、36%が「経営者・経営幹部」と回答していますが、昨年に比べると4ポイントほど減少し、逆に「直接の担当者(15%)」とする回答が増え、現場レベルあるいは末端の社員からコンプライアンス(法令遵守)を求めるべきとの考えが現れています。


●理想とする上司のタイプ

 理想とする上司のタイプに関しては、部下(自分)に対して「優しく」接して、職場の運営は「先頭に立って引っ張り」、意思決定は「コンセンサス重視」が求められています。

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