会計の実際学

履修年次:1単位:2

担当教員

産業能率大学 教授
松田 道春

授業の目的と概要

 本講義は、いわゆる会計学にとどまらず、「実務としての会計」という観点から、より広い視座で財務会計及びそれを取り巻く諸制度についての基礎知識の習得を目的としています。
 本講義の進め方は、まず教員の方から知識の体系を伝達し、その後、学生間のグループディスカッションを通じて実際に学生が経験している実務や知見を共有することで、学んだ知識体系を実務において生きたものとして理解するとともに、相互に考え方の違いや論点の違いを共有することで、皮相的ではない知識を得ることができます。
 各回のテーマは次のような観点から設定しています。
 まず、財務会計については、総花的になるのではなく実務において重要性の高い会計基準、すなわち見積もり項目であるため企業の会計ポリシーが問われる減損会計や税効果会計、企業業績に大きなインパクトを与える連結会計や企業結合会計、等の論点に絞って取り上げます。
 財務会計をとりまくテーマとしては、ディスクロージャー制度全般、予算制度等の管理会計、会計監査の概要・内部統制制度・JSOX制度等の領域を学びます。また、会計実務にとって、将来の会計基準の改正動向は重要であることから、IFRSの導入やIFRSの改定予定、及びこれにあわせて発生するであろう日本の会計基準の改定動向についても学びます。IFRSについては、単に会計基準の説明にとどまらず、その根底にある思想や、それが企業経営にどのような影響を与えうるのか、といった点についてもディスカッションする予定です。
 最後に、会計の世界に身を置く人間、特に職業的専門家である税理士等に求められる職業倫理について学びます。

ディプロマ・ポリシー (修了時の到達目標)

■:この科目で特に重視する観点

■①マネジメントに関する専門知識や理論、問題分析の手法を修得し、経営機能における的確な意思決定ができる

□②関係する人との連携・協力関係を築き、リーダーシップや高いコミュニケーション能力を発揮することができる

■③マネジメントのプロフェッショナルとして高度な専門性と責任感、倫理観をもち、自ら問題を発見して課題を設定し、現実的で実効性のある解決策を導き出すことを通じて、組織や社会の発展に貢献することができる

上記ディプロマ・ポリシーに基づく当科目の到達目標

  • 会計及びその周辺分野についての専門知識を習得することにより、経営機能における的確な意思決定ができる。
  • 自らの実務と照らし合わせながら講義を受講することにより、問題発見及び課題設定を具体的に行い、解決策を導くことができるようになる。
授業項目 概要
ガイダンス 講義全体の進め方についてガイダンスを行います。理論会計学と実務としての会計の相違について、概観します。
ディスクロージャー制度 会計の実際は、純粋な会計学によってのみ動いているのではなく、広く社会制度に組み込まれたものとなっています。会計を取り巻くディスクロージャー制度について、金融商品取引法、各上場市場規則、会社法、各会計基準、について取り上げます。
管理会計、予算制度、月次決算 会計の実際のもうひとつの側面は、制度会計と対をなす、管理会計の分野です。予算制度、中期経営計画、月次決算制度など、企業の利益管理のために、会計は利用されています。
実務上重要な会計論点(1) 財務会計(会計基準)の中でも、企業経営に大きな影響を与える会計基準について、基準の内容と実際の会計・監査実務について学びます。
・見積り系(減損会計、税効果会計)
実務上重要な会計論点(2) 前回に引き続き、企業経営に大きな影響を与える会計基準について、基準の内容と実際の会計・監査実務について学びます。
・連結
・企業結合会計
財務会計の新潮流 IFRSに関連する今後の潮流について、概説します。
・最近の任意適用の動向
・収益認識基準
・リースその他今後の動向
IFRSと企業経営の関係 IFRSの根底にある思想を考え、そのことが今までの日本の企業経営とどのように異なるのか、今後どのような影響を与えうるのか、など、IFRSと企業経営の関係にして、ディスカッションを通じて理解を深めます。
会計監査、JSOX、不正会計 会計の実際においては、企業による会計基準の適用と、それが正しく行われているかの制度的担保である監査制度等の理解が欠かせません。監査制度、JSOX制度について外観するとともに、最近の不正事例について学びます。
会計専門職と倫理
【試験】
公認会計士及び税理士は会計系の職業的専門家(プロフェッション)として、高い職業倫理が社会的に要請されることになります。なぜ、職業的専門家には職業倫理が求められるのか、その理由と実際の行動原理について学びます。
【授業全体の専門知識の習得を確認するための試験を実施します。】