組織変革論

履修年次:1・2単位:2

担当教員

城戸 康彰

産業能率大学大学院研究科長・教授
城戸 康彰

授業の目的と概要

 企業や組織にとって変革は避けられない現象です。競争環境の変化や組織そのものの成長、時間の経過とともに自然と発生する組織内の沈滞化や硬直化、戦略の転換等、これらはすべて組織の中に変革を要求します。変革をうまく実践できないと、環境への不適応や組織の停滞、非能率な活動の温存、更には業績の悪化を招き、結果的に組織の衰退へとつながっていきます。変革において難しい点は、以前から続いている考え方や慣行、やり方等が新しい状況への移行を妨げることです。不安感や利害関係から発生する変革への抵抗であったり、慣れ親しんだものへの逆戻り、といったことが絶えずつきまといます。これらを乗り越えて変革を実施していくところに難しさがあります。
 本講義では、組織変革論について一般的な観点から理解すること、および事例研究や新たな手法の紹介を通して組織変革の実際の姿や実施方法について学ぶことを目的としています。後半では、組織での学習やイノベーションの促進、強い組織能力の構築といったテーマも扱います。組織変革論は、確立した学問分野とはまだいい難いですが、組織内での変革についてその体系や枠組み、理論的側面等、一般的に捉えることがなされます。
 教材は、各回のテーマについて事前に配布される資料およびケースが使用されます。授業は、基本的にクラス全体の討議、およびグループに分かれての討議・発表を中心に進められます。したがって、資料やケースを授業の前に読んで、自分なりに整理した上で出席することが要求されます。

ディプロマ・ポリシー (修了時の到達目標)

■:この科目で特に重視する観点

□①マネジメントに関する専門知識や理論、問題分析の手法を修得し、経営機能における的確な意思決定ができる

■②関係する人との連携・協力関係を築き、リーダーシップや高いコミュニケーション能力を発揮することができる

□③マネジメントのプロフェッショナルとして高度な専門性と責任感、倫理観をもち、自ら問題を発見して課題を設定し、現実的で実効性のある解決策を導き出すことを通じて、組織や社会の発展に貢献することができる

上記ディプロマ・ポリシーに基づく当科目の到達目標

  • 関係する部門や人材に働きかけたり、連携を組むことにより、変革を効果的に推進することができる。
  • 変革を成功させるために、専門的な知識やスキルを活用して指導的な役割を果たすことができる。
授業項目 概要
組織変革論の体系と変革の必要性 ・組織変革論の体系:変革論の全体像を理解して、変革論がどのような内容を含むかを理解します。
・変革の必要性:変革において重要な変革の開始について、必要性の認識から論理的な整理・説明について学びます。
組織の拘束性 組織には現状に留まろうとする力が働きます。過去の成功が大きいほど、組織の拘束性、つまり変化への抵抗力は大きい。組織の拘束性は、組織変革論固有の問題といえます。
拘束性の発生について、組織面および個人的な面から理解するとともに、抵抗を乗り越える方法について考えます。
組織の変革とコンサルティング 産業能率大学総合研究所の診断ツール、GALILEOを使い、組織の診断を実践してみます。加えて、その後の組織への介入等のコンサルティングの観点から組織変革を考えます。
ビジョンの策定と普及 組織の変革をビジョンの策定から始める企業は多い。NTTデータのケースを使用しながら、大規模な組織でのビジョンの策定、およびそれを普及・浸透させる方法について検討します。
ケース 潜水艦サンタフェの変革
ビジョン経営と研究開発部門の改革 ヤンセンファーマ社の事例を使用し、全社的にビジョンを策定し、日常のマネジメントの中に落とし込み展開することを検討します。さらに、知的活動の中心ともいえる研究開発部門の変革も取り扱います。
ミドルの選抜による変革 経営塾という形で若手のミドルマネジャーを選抜して変革の試みを行った事例を基に、ミドルを中心として行う変革の良さや注意点について考えます。
ポジティブ組織変革 近年の組織開発では、対話を用いたポジティブな開発手法が登場しています。その中でも、組織や個人のもつ強みを対話を通して引き出そうとする手法であるAI(Appreciative Inquiry)の可能性等を検討します。
組織能力を構築するリーダー 組織の能力(ケイパビリティ)を構築するリーダーの役割を考えます。組織の能力を次の4つの点から捉えます。
・人材の力(メンバーのコミットメントと能力)の強化
・組織の力(スピードや学習等)の向上