リーダーシップ論

履修年次:1・2単位:2

担当教員

曾小川久英総合研究所教

産業能率大学 総合研究所教授
曾小川 久英

授業の目的と概要

 リーダーシップは、手法やツールやテクニックを習得するだけで醸成できるとはかぎりません。リーダーシップの成否を握る鍵は、リーダーが語る想いやビジョンにメンバーが共感しているか、メンバーが喜んでついてくるかであり、リーダーシップの発揮には、リーダー自身の「ものの見方と考え方」(=リーダー自身の〈観・想・志〉)が多大な影響を与えています。ただ〈観・想・志〉は、長い時間をかけて自らで熟成し醸成するもので、教えたり与えたりすることはできません。〈観・想・志〉を磨くための魔法の杖のごとき方法論もありません。
 この授業の主眼は知識・理論の学習や方法論の習得ではなく、リーダーとしての〈観・想・志〉を研ぎ澄ますための手がかりを自らで探り、リーダーシップの醸成に向けた自己スタンスの土台を固めることです。
 第1週から第3週では、リーダーシップにかかわる基本事項と論点を確認します。第4週から第8週は、「リーダー行動」「時代と社会」「組織と仕事」などに関連する最近の新書を検討図書にしながら、著者の見解や主張の要点を把握するとともに、事前に整理した見解の発表やクラス全体での討議およびグループ討議を通して、自分なりの捉え方や観点の妥当性と共感性を検証します。第8週までの思索や検討の重層的な積み重ねを踏まえて、第9週では自らの想いと覚悟をこめて「リーダーシップを発揮して、私は何をいかに実践展開するか」をレポートにまとめ、自己スタンスを固めたいと考えています。

ディプロマ・ポリシー (修了時の到達目標)

■:この科目で特に重視する観点

□①マネジメントに関する専門知識や理論、問題分析の手法を修得し、経営機能における的確な意思決定ができる

■②関係する人との連携・協力関係を築き、リーダーシップや高いコミュニケーション能力を発揮することができる

□③マネジメントのプロフェッショナルとして高度な専門性と責任感、倫理観をもち、自ら問題を発見して課題を設定し、現実的で実効性のある解決策を導き出すことを通じて、組織や社会の発展に貢献することができる

上記ディプロマ・ポリシーに基づく当科目の到達目標

  • リーダーシップの本質と核心を修得して、自分らしさを組織運営や業務推進に活かすことができる。
  • 異なり対立する見解の論点と根拠を理解し、組織での意思決定に自分なりのものの見方と考え方を反映できる。
授業項目 概要
リーダーシップへの眼差し リーダーシップの基本事項として、リーダーシップの捉え方と要諦を確認します。
a. リーダーシップとはどのようなことか
b. リーダーシップを支える立脚点、目指したいリーダー像
期待されるリーダー行動 リーダーシップの発揮に向けて何をするのか、期待されるリーダー行動を探索します。
a. リーダー行動の本質と根源
b. マネジメント活動の要諦、マネジメントとリーダーシップ
リーダーシップの探究 リーダーシップが遭遇しがちな隘路とリーダーシップに纏わる論点を検証します。
a. リーダーシップの試練、リーダーシップの厄介さと悩ましさ
b. リーダーシップを醸成するために心がけたい姿勢
リーダーの振る舞い リーダーシップの醸成とリーダー行動の実践に向けて、成果をあげた経営者の振る舞いと姿勢を確認します。
〔検討図書〕:丹羽宇一郎 『リーダーのための仕事論』
事業展開とリーダー行動 不振に陥った事業の立て直しに向けて、リーダーはいかに取り組むのか、事業再生への物語を噛みしめます。
〔検討図書〕:三枝匡 『V字回復の経営』
組織と仕事を観る眼 組織は曖昧で不可解で悩ましく、一筋縄にはなかなか対処できません。組織と仕事を捉える観点を探ります。
〔検討図書〕:沼上幹 『組織戦略の考え方』
リーダー哲学の省察 いま必要なのは、登山でしんがりを務めるようなフォロワーシップの精神、哲学者のリーダー論を検証します。
〔検討図書〕:鷲田清一 『しんがりの思想』
私のリーダーシップ観 リーダーシップについての洞察と議論を踏まえて、自分なりのリーダーシップ観を研ぎ澄ませます。
〔検討図書〕:野田智義・金井壽宏 『リーダーシップの旅』
リーダーシップの発揮に向けて 最終レポートの相互検討を通して、今後に向けての自己スタンスを固めます。
〔検討テーマ〕:「リーダーシップを発揮して、私は何をいかに実践展開するのか」