コーポレート・ファイナンス論

履修年次:1・2単位:2

担当教員

光定 洋介

産業能率大学 教授
光定 洋介



産業能率大学大学院 兼任教員
大野 潔

授業の目的と概要

 企業経営や実務の現場においてファイナンス理論への理解がより深く求められるようになってきています。その背景のひとつには、企業間の株式持ち合いが減少する一方で、内外の機関投資家が重要な株主として企業経営に影響を及ぼすようになっていることなどが挙げられます。
 このような時代においては、資金供給者が有するリスクとリターンの考え方を把握し、それを踏まえた経営判断や投資決定を行うことが、要請されるようになってきています。これまで、企業はさまざまな方法に基づいて、投資決定や業績評価を行ってきていました。しかし、一般的に、伝統的な評価手法においては、企業価値を高めるという資金供給者が要求しているリターンに関する認識が必ずしも十分ではありませんでした。
 本授業では、まず、資金供給者が要求しているリターンに関する基本的なファイナンスの理論を学習します。その上で、こうした理論をベースに現実の仕事を見直してみて、不足している部分が無いかどうか考えて行きます。また、新しい発想方法が身に着くように、随所でディスカッションを取り入れます。そして最終的には、ファイナンスの理論を現実の世界へ応用でき、企業行動をファイナンスの視点からも考えられるような人材の育成を目的とします。
 また、適宜、最近のファイナンスに関する新聞記事なども用いながら、現実の世界で起こっていることと、理論との整合性について確認をしていきます。

ディプロマ・ポリシー (修了時の到達目標)

■:この科目で特に重視する観点

■ ①マネジメントに関する専門知識や理論、問題分析の手法を修得し、経営機能における的確な意思決定ができる

■ ②関係する人との連携・協力関係を築き、リーダーシップや高いコミュニケーション能力を発揮することができる

□ ③マネジメントのプロフェッショナルとして高度な専門性と責任感、倫理観をもち、自ら問題を発見して課題を設定し、現実的で実効性のある解決策を導き出すことを通じて、組織や社会の発展に貢献することができる

上記ディプロマ・ポリシーに基づく当科目の到達目標

  • ファイナンスに関する理論を理解し、マネージャーとしての意思決定が的確にできる。
  • 業績評価や企業価値の評価方法のスキルを修得して、ファイナンスを組織内のひとつのコミュニケーション言語として使い、投資の意思決定などの組織運営において高い成果があげられる。
授業項目 概要 集中
授業
オリエンテーション
ファイナンスの必要性・現在価値
なぜ、ファイナンスの考え方が経営や実務の現場で必要なのか、プリンシパル・エージェント理論を用いて説明します。さらに、企業評価の基本となる現在価値の計算方法について概説します。

投資の決定手法
純現在価値法(NPV法)
投資の決定方法について、純現在価値法、内部収益率法(IRR法)、投資回収期間などの考え方を説明します。さらに、純現在価値法で用いるキャッシュフローの予測値についてより詳しく説明します。
資本コストの概念 ファイナンス理論における中核的な概念である資本コストを理解するため、まず、資本市場のリスクとリターンについて説明します。その上で、会社の資本コストの算出方法について学びます。

戦略的な投資プロジェクト評価 様々に異なる経済要因に応じて、投資プロジェクトの評価(NPV)がどのように変化するか感応度分析やシナリオ分析を行い、より現実的な経営戦略へと近づけていきます。
演習
ディスカッション
第1回から第4回まで学んだことをケースにした演習を行います。ケースについては、第2回目と第4回目に課題として指示しますので、5回目までに自宅で課題に取り組んできて下さい。第5回目はこれらのケースについてのディスカッションを行います。

業績評価・エージェンシー問題と企業の資金調達 業績評価の手法の1つである経済的付加価値(EVA)の考え方について説明します。また、エージェシー問題についても説明します。さらに、企業の資金調達の手法について、説明します。
配当政策・資本構成と企業価値 企業の資本構成が企業価値にどのような影響を及ぼすのかについて、モジリアーニ・ミラー(MM)理論をベースに、その考え方を説明します。

M&Aとファイナンス 最近増加傾向にあるM&Aの背景について、ファイナンスの視点から考えます。
試験 ファイナンス理論に関する理解度とともに、ファイナンスの考え方が企業経営にどのような意義を持っているかという観点を重視します。