アクティブラーニングでできる100のコト

「平塚市から来た松岡です。まっちゃんって呼んで下さい」、あなたはこんな自己紹介をしていませんか?これ自己紹介のように見えて、実は自己隠しなんです。なぜなら、この自己紹介には、その人らしさが全く表現されていないからです。私の授業は、このなんの変哲もない自己紹介に疑問を感じることから始めます。なぜ自己紹介なのに自己隠しをしてしまうのか。それは教室という特殊な環境に学生が不安を感じているからなんです。人は不安を感じると本当の自分を出せないのです。

教室には二つの不安があります。一つは教員です。知らない大人ですし、誤ったことを言えないという雰囲気があるのでしょう。もう一つの不安はクラスメイトです。変なことを言ったらからかわれるかもしれないといった不安です。でもよく考えてみて下さい。間違いを発見し、課題解決の糸口を見つける場所が大学なんです。教室では、間違えるべきなんです。学生が安心して授業に参加できるように、二つのルールを設けています。人の意見や考えを否定しない、自分の考え方を人に押し付けないというルールです。

安心できる環境を整えたら、今度はあえて不安定な状態を作ります。安心させておいて、次に不安にさせる。だったら最初から何もしなくても、と誤解されそうですが。ここでいう不安定な状態とは、仲良し同士でグループにならない、テーブルには筆記用具以外は置かないといったことです。不安定な心理状況があるからこそ、人は改善を試みるからです。これの繰り返しが、自分の頭で考えて問題を解決するという習慣につながります。グローバル社会は言葉も文化も価値観も異なる人々との協働が前提です。それは自分の頭で考え、発信できる力が強く求められる社会です。学生も教員も戸惑いながら脳に汗をかいていく。一人ひとりの成長に密接に関われる。この仕事にやりがいを感じています。

産業能率大学
情報マネジメント学部 教授
松岡 俊